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■新釈雨月物語
浅茅が宿
むかしむかし、世にも美しい乙女がいた。
その存在は広く知れ渡り、多くの男達が恋焦がれた。
乙女は、恋がひとのまことなら、誰のまことにこたえようかと、
思い悩み、入江に身を投げてしまった。。
『という昔話が、物語中に出てくる。
贅沢な悩みなんだけど、これ深い。
外面の美醜というものと、それとは一線を画す心が、誰にでもある。
外面の美醜によって、心とは関係なく、他者は寄り付いたり、忌避したりする。
美ゆえに、心が蔑ろにされ
醜ゆえに、心が蔑ろにされる
つまりその時、心にとって、美と醜は同じものだ。
乙女は恋をひとのまことと捉えたが、それはちがうんじゃないか?
まことは、美醜とは関係ない関係の中にあるはずだから。
とすれば、乙女の苦悩の本質は、多くのまことに応えられない事にあるのではなく、
多くの恋の中で、まことを見つけられない事だろう。
それ故に、自分の美醜と心との間に深刻な葛藤が生まれるのである。
だから、園長は、乙女の身投げは、美醜と心の絶望が原因だと思うのだ。』
園長’「上田秋成に異議を唱えるのか?」
園長 「え、いや、その、、」
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